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映画「時計じかけのオレンジ」とは?
スタンリー・キューブリック監督が手掛けた
1971年公開の映画
アンソニー・バージェスが1962年に発表した同名小説の映画化です。
原作同様、映画も主人公である不良少年の一人称の物語であり
ロシア語と英語のスラングで組み合わされた「ナッドサット言葉」が使用されている。
※ ナッドサットとは?
ナッドサットは、人工言語というよりはむしろ、言語の特殊な使用形態、
もしくは隠語に近い。
単語は英語と同じ様に語尾変化するが、
この場合も元となっていると考えられる英語の文法は無視されている。
アレックスは自身が望めば通常の英語を話すこともできる。
ナッドサットはアレックスが見聞きし体験した世界を描写するのに用いられる
「特別な」語彙の集まりなのである。
映画「時計じかけのオレンジ」キャスト
アレックス(Alex DeLarge) | 主人公の不良少年 | マルコム・マクダウェル |
---|---|---|
ディム(Dim) | 不良仲間“ドルーグ” | ウォーレン・クラーク |
ジョージー(Georgie boy) | 不良仲間“ドルーグ” | ジェームズ・マーカス |
乞食の老人 | 酔っ払い冒頭で襲われる | ポール・ファレル |
ビリー・ボーイ(Billyboy) | 主人公と敵対する不良頭 | リチャード・コンノート |
ミスター・フランク(Frank) | 被害者の作家 | パトリック・マギー |
ミセス・アレクサンダー(Mrs. Alexander) | 作家の妻(赤い服) | エイドリアン・コリ |
キャットレディ(Cat Lady) | 主人公に襲われる | ミリアム・カーリン |
デルトイド(Deltoid) | 主人公の担任教師 | オーブリー・モリス |
トム(Tom) | 警官 | スティーヴン・バーコフ |
バーンズ(Barnes) | 口髭の看守長 | マイケル・ベイツ |
刑務所の牧師(Prison Chaplain) | チョイスの名演説をした | ゴッドフリー・クイグリー |
女医(Dr. Branom) | – | マッジ・ライアン |
ダッド(Dad) | 主人公の父親、禿げている | フィリップ・ストーン |
ママ(Mum) | 派手なカツラの母親 | Sheila Raynor |
ジョー(Joe) | 赤い服の下宿人 | Clive Francis |
フレデリック(Frederick) | 内務大臣 | アンソニー・シャープ |
精神科医(Psychiatrist) | – | ポーリーン・テイラー |
映画「時計仕掛けのオレンジ」あらすじ・ネタバレ
舞台は近未来のロンドン。
クラシック音楽、中でもベートーヴェンをこよなく愛する
15歳のアレックス・デラージ(Alex DeLarge)をリーダーとする少年4人組
“ドルーグ”は、今夜もコロヴァ・ミルク・バーでドラッグ入りミルク“ミルク・プラス”
を飲みながら、いつものように夜の世界の無軌道的な暴力行為
“ウルトラヴァイオレンス”の計画を立てていた。
労働の担い手とならない老人は街中にゴミのように打ち捨てられ
ホームレスとなっており、アレックスたちは酔って寝ていたホームレスを
棍棒でめった打ちにする。
興奮冷めない一行は盗んだ車で郊外へ走り、困窮を装って助けを求め、
親切心から扉を開いた中年作家の家にマスクを被って押し入ると、
「雨に唄えば」を歌いながら暴れ、作家を押さえつけ目の前で作家の妻を輪姦した。
翌日、いつものように学校をサボったアレックスは、
レコード店で引っかけた女の子2人と自宅でセックスをする。
その後、グループのリーダーをめぐって仲間と一悶着を起こすが、
その夜仲間と共に金持ちが住む一軒家へ強盗に出かける。
アレックスは男性器をかたどったオブジェで老婦人を“トルチョック”し撲殺するが、
昼間のいさかいが原因で仲間から裏切られ、彼だけが警察に逮捕される。
アレックスは懲役14年の実刑判決を下され、収監されて2年が経とうとしていた。
牧師と懇意になるような模範囚を装っていたアレックスは、
内務大臣にキリスト教への信仰心とクラシック音楽の趣味を見出され、
さらに犯罪歴から野心を気に入られ、「ルドヴィコ療法」
の被験者となることと引き換えに刑期短縮の機会を得る。
12年の獄中生活から逃れるため、アレックスは志願した。
治療のためアレックスは施設に移送された。
その治療は、被験者に投薬を行った上で拘束服で椅子に縛り付け、
“リドロック”のクリップでまぶたを見開いた状態に固定し、
眼球に目薬を差しながら残虐描写に満ち満ちた映像を
ただじっと鑑賞させ続けるというものだった。
投薬によって引き起こされる吐き気や嫌悪感と、
鑑賞中の暴力的映像を被験者が「連係」することで、
暴力や性行為に生理的拒絶反応を引き起こすように暗示するのである。
映像のBGMに使われていたのは、偶然にも彼が好んで聴いていた
ベートーヴェンの第九であった。
これによりアレックスは、最も敬愛する第九を聴くと
吐き気に襲われ倒れてしまう身体となる。
アレックスは暴力に対して無防備となり、
それに抗うことを選択する能力のない存在となった。
それはまるで中身が機械でできている人間、
『時計じかけの“オレンジ”』のようであった。
アレックスは暴力に対して無防備な人間となって出所する。
出所したアレックスを待っていたのは、様々な報復
以前彼がリンチした老人(ホームレス)の仲間たちによるリンチ
アレックスは、あえて抵抗しようとせずに暴行を受け入れた。
アレックスにとって、暴力への嫌悪感による苦痛よりは、
暴行を受けるほうがマシであった。
この時駆け付けた警官が、警官に就職したかつての仲間の
ディムとジョージーたちだった。
警官たちはアレックスを、容赦のない暴力を浴びせて放置する。
冷たい夜の雨の中をさまよったアレックスは、
それとは知らず以前襲った作家の家に助けを求める。
夫人はすでに肺炎により死亡しており、作家自身はアレックスから受けた
暴行の負傷により車椅子生活を送っていた。
作家は入浴を勧め、風呂に浸かって安堵したアレックスは「雨に唄えば」を歌い始める。
作家はこの歌声でかつて自分達夫婦を襲ったマスクの少年が彼であると気づくと、
我を忘れるほどの激しい憎悪が湧き上がる。
入浴を終えたアレックスは食事にありつくが、作家の様子に違和感を覚えた。
要人が到着し、アレックスは治療の詳細な質問に応じる。
「『第九』を聴くと死にたくなる」ということを話したところで、
アレックスはワインに入れられた薬物により意識を失う。
意識を取り戻すとアレックスは高い階の部屋に監禁されており、
大音量の「第九」を聞かされる。
アレックスは激しい嘔吐感に襲われ、死ぬつもりで窓から飛び降りる。
暴力に対して過剰な嫌悪反応を植えつけられた彼だが、
自己に対する暴力の手段が残っていた。
アレックスを自殺に追い込み、メディアを利用して
政府打倒を目論むことが作家の企てであったが、アレックスは死ななかった。
アレックスが目覚めると、ギプスと包帯姿で病院のベッドに横たわっていた。
体が少し回復すると精神科医が現れて、絵のシチュエーションに相応したセリフを
答えるテストを始めるが、もはや受け答えに性行為や暴力行為への
抵抗はなくなっていた。
特別な個室に移されたある日、内務大臣が訪れ、ルドヴィコ療法が原因の
自殺未遂事件で下がった政府の支持率を回復するため、
世間に対して今度はルドヴィコ療法から完治した
デモンストレーションをして欲しい、と言葉を濁しながら頼む。
アレックスは野心的に快諾すると、大臣は友好の証としてプレゼントがあると応じた。
商談が成立すると、待機していた2台の大きなスピーカーと大勢のカメラマンが部屋に
雪崩れ込み、仲睦まじそうに手を取り合う両人の撮影を始める。
大音量で鳴り響く「第九」のなかでアレックスはセックスシーンを思い描きながら
恍惚の表情を浮かべるが、それは以前の邪悪な顔つきそのものであった。
映画「時計じかけのオレンジ」感想・原作のラスト
この映画も、高校生の頃に原作を読んでから、見た映画です。
露骨な性描写、暴力表現によりアメリカ合衆国カトリック司教協議会の映画審査部門は
レーティングをC(Condemned、有害)として鑑賞を禁じました。
反道徳的映画としての、レッテルを貼られたのです。
1972年にイギリスで公開された当時は、少年の犯罪にこの映画の影響を受けたと
騒がれ、キューブリックのもとには多数の脅迫状が寄せられ、
自身と家族の安全を危惧したキューブリックの要請により
1973年全ての上映が禁止されたそうです。
映画のラストシーンで、元に戻ったアレックスで終わりますが、
原作では、更に続いています。
元に戻ったアレックスは再び、暴れますが仲間が結婚し
子供を持った事で、自分も落ち着きたいと考え、自主的に
暴力を辞めます、そして自分の子供も、きっと同じように
暴力の道をたどるだろうと言う、アレックスの独白で終わります。
若い頃の過ちは、誰でも通る道だと言う事を示唆した終わりに
なっていました。
この映画に惹かれる要素は、インテリアやファッションの
面白さです。
近未来と言う設定なので、驚きの衣装とインテリアになっています。
随分古い映画ですが、名作シリーズに加えるに相応しい作品です。
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